HOME 少子化対策研究所 第五回会合 2015.11.4「女性が働き続けることを支援する産休育休の新提案」

少子化対策研究所

第五回会合 2015.11.4「女性が働き続けることを支援する産休育休の新提案」

第五回会合 2015.11.4 「女性が働き続けることを支援する産休育休の新提案」(出席者:柳澤、圦本)

今回のテーマのきっかけとなったのは、ゆりもとが卒業後初めて神戸大学理学部同窓会行事に出席した時の出来事です。2015年10月31日に神戸大学ホームカミングデイ企画のうち、国立極地研究所教授の野木様の講演会(南極越冬隊の実際の状況を楽しくご紹介くださいました)に出席し、その後理学部懇親パーティーに参加しました。

脱線しますが、野木様から伺ったお話で一番びっくりしたのは、「南極では無菌状態なので誰も風邪をひかない(これは有名なので知っていました)が、1年の任期を終えて戻ると大抵体調を崩す。おそらく1年分免疫が落ちているのだろう」という話でした。地球上で普通に暮らしているだけで免疫機能は仕事をしているのかと、生命メカニズムの偉大さを改めて実感しました。

懇親会の帰り、大変お元気そうな70代大先輩の女性とバスで一緒になり、しばらくお話をしました。職業を聞かれたのでFPフローリストのことを少しお話すると、「まあ、ベンチャーを起こされたのね。素晴らしいわ!」とえらく褒めてくださり、恐縮しました。その方は最近まで、神戸大学の男女共同参画のお仕事をされていたとのこと。

「どんなお仕事なのですか?」とお聞きすると

「国立大学は教職者の3割以上女性を登用することになっていて、その女性たちを支援するために予算がついているのよ」

「その予算は何に使うのですか?」

「女性が登用されても実績を出せなければ続かないため、例えば海外の学会にでて実力を上げるための渡航費を援助する、というようなことに使っています」

「へえ~、全然知りませんでしたが、そこまで女性を応援して頂いているんですね」

というお話をして、阪急六甲駅でお別れしました。

大学で女性を3割登用というのは何だろう、また女性の登用応援の流れは、少子化対策にプラスの影響があるのかということを確認したくなり、調べてみました。すると、政府の中に「男女共同参画局」という活動機関がありました。

  • ポジティブアクション
    http://www.gender.go.jp/policy/positive_act/index.html
    「内閣府男女共同参画局では、男女共同参画社会の実現に向け、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位(※)に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標(平成15年6月20日男女共同参画推進本部決定、『2020年30%』の目標)を達成するため、女性の参画を拡大する最も効果的な施策の一つであるポジティブ・アクションを推進し、関係機関への情報提供・働きかけ・連携を行っています。」
  • 第3次男女共同参画基本計画における成果目標の動向【平成27年6月19日時点】http://www.gender.go.jp/about_danjo/seika_shihyo/pdf/numerical_targets_h270619.pdf
    p7の成果目標に
    「大学の教授などに占める女性の割合」平成32年までに30%
    「女性研究者の採用目標値(自然科学系)」25%(早期)、更に30%を目指す
    その他、細かく女性採用の数値目標と期限が設定されています。

膨大な文献すべてに目を通したわけではありませんが、官民協力して女性の指導的地位割合を上げていくことと、女性の離職率を減らし働き続けることを支援するため、様々な取り組みをしていく流れであることが分かりました。私たちとしては、「この流れを推進することが女性の地位向上に資することは理解できるが、仕事と子育てを両方こなせる女性が増える=出生数が増える効果を期待できるか」という観点で考察をいたしました。

FP相談のメイン顧客層のひとつが、30代1子目出産前後の共働き世帯です。彼女たちの話を聞く限り、「子育てと何とか両立して正社員で働き続け、一定の収入を確保し続けたい。けれど時短でも体力的に限界なので、仕事をあきらめるか、2子をあきらめるかどちらかしかないのか」という悩みが多く、仕事の負荷増大につながる形での出世を望んでいるという話はあまり出てきません。

次の40代50代で子どもの教育費がかかる世帯になると、奥様のお考えでよく伺うのは次のようなことです。「健康上の理由などで、いつまでフルタイムで仕事を続けられるか不安です。末子が大学を卒業するまでは何とか働き続けるが、その後は自分の収入がなくても老後の生活が成り立つのであれば、早期退職や軽めの働き方に変わる選択肢も検討できるため、気持ちが楽になります。」ちなみに、会合出席者2名もこの年代で、自分の子どもの大学受験に振り回されており、子育て卒業まであともう数年、という段階です。働き続ける意欲は平均以上にあると思われますが、子育てと並行して10年20年スパンでの自分のキャリアデザインを立て、実行していくには相当根性が必要であること日々実感しています。

このような現場ニーズから考えると、女性の指導的地位の割合が増えることは男女共同参画の理念の実現形態の一つであり、やる気が出て頑張れる女性が増えることや、女性が働きやすい職場にしていく施策が実現されやすいというメリットは想定できます。しかしそのことと、平均的な働く女性が、安心して子どもを希望数産むことをより容易にするかは、直結した成果が出るとは見込めないのではないか、と考えられます。何故なら、出産育児真っ只中の女性たちの悩みは次の2パターンに集約されることが多いためです。

  1. フルタイム勤務の方は、時間的体力的な限界を感じ子育てと仕事の両立を続けられるか不安に感じています。
  2. 一方、一旦離職して家庭に入った方は、時間的ゆとりはあるものの、家計と自分の将来キャリアに不安を感じている方が多い(子育てがひと段落した後、無事社会復帰できるのか、年齢などが制約になり正社員に戻るのは難しいのではないか、など)。

そのため、男女共同参画の推進に加えて、女性が出産子育てとフルタイムの仕事の両立で精力を使い果たさないで済むような支援・工夫がもっと検討されるべきではないかと、考えが至りました。

その方向で議論した結果、以下のような案が出ました。

【提案1:男性の育休取得の推進】
・男女共同参画やイクメンプロジェクトなど男性の育児推進からもう一歩踏み込んで、例えば「最低3ヶ月は男性も育休を取ることを必須にする」と言った制度提案はどうか。現在育休は1年~最大1年半だが、例えば女性が1年休んだ後、男性が3ヶ月育休を取るなど、夫婦合わせて最大1年半の枠を使うことを推進していくのはいかがか。一般的な男性は転職をしない限り仕事をリセットする機会がないことが通常。短期間でも育休取得をすることで、パートナーを応援しながら子育て貢献をすると共に、仕事をリセットし、その後のワークライフバランスを考える期間とすることが可能ではないか。かえってその後の職業人生を充実させる機会とすることもできるのではないか。

【提案2:時短勤務制度の柔軟化】
・また、時短は現在3/4(通常8時間勤務のところ6時間まで短縮可能)が基準ですが、保育園の送迎と出勤で往復2~3時間を費やすため、働くママに時間的な余裕はない。また0~2歳児は特に突発的な病気が多いため、病理保育の受け皿が見つけられない場合は働くことを断念する方向に流れがち。
そのため、提案としては例えば、子どもが3歳になるまでは男性も女性も共に重複して時短勤務ができるようにする。そして基準を現在の3/4から3/5に下げ、更に1週間での調整が可能にできるようにすることを挙げたいと思います。
つまり、週40時間勤務を24時間まで減らす選択肢ができるということです。職場の状況にもよりますが6時間×4日と8時間×3日という勤務も可能にする。
そうすると、夫婦で共に8時間×3日を選択すれば、パパが週3日、ママも週3日働き、二人とも出勤の週1日だけ保育サービスを利用するということが実現可能になる。
収入に関して言うと、時短勤務期間は各々3/5に減るが、夫婦の収入に著しい差がなければ3/5+3/5=6/5であり、ママが離職してしまうよりは短期的にも長期的にも家計の総収入がより多く確保できるため、経済的なゆとりと時間的なゆとりの両立ができやすくなります。
さらに両親どちらも子供と過ごす時間が確保でき、希望される方は2子目、3子目出産を前向きに考えることが容易になると想定されます。保育サービスを利用する日数を大幅に減らせるため、待機児童解消の効果や病理保育サービス不足問題の解決も見込めます。会社としても、せっかく育てた女性人材が離職することを防ぎやすくなります。

弊社にFP相談に来られる方々がアベレッジであるとは限らないこと、また提案が現実的ではない職種や職場も多くあることから、限定的な有効性を期待できる提案ではありますが、男性の協力や育児期の夫婦の働き方に関して、より一層の制度の工夫で子育てを幸せに乗り切れる支援を検討頂くヒントとなればとの思いから、今後もアイデアを溜めていくことにいたします。