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少子化対策研究所

第六回少子化対策会合 2017.11.30

第6回少子化対策会合 2017.11.30(出席者:鈴木さや子、圦本、柳澤)

株式会社ライフヴェーラ(mamaTanoマネーサロン)の鈴木さや子氏をお招きし、少子化対策研究会の発端、日本の少子化の原因を包括的に学習し、対策についてFPの視点から議論しました。

1.少子化対策研究会の趣旨(圦本より)
日本の人口減少に歯止めをかけるために何が必要か

FPとしてできること(パーソナルファイナンス)に着目し、有効な手段を検証する

  1.  個人が考え方を変えたり、暮らし方を変えたりするアドバイスをFPがすることで、未婚率を減らしたり、出生率を増やしたりすることはできないか検証する
  2. 少子化対策に効果的な施策(社会保障や税制の改正・新設)などの政策提言をする

2.現状の政策検証(参考文献:少子化論 松田茂樹著)
(1)出生率を決める要因
…①未婚率の上昇、②夫婦の子供の数(完結出生児数)の減少、③出産期の女性の減少

①未婚率の上昇
・1980年代以降、男女ともに未婚率上昇
・25~29歳の女性未婚率:80年代約2割 ⇒ 2010年約6割

②完結出生児数の減少
・1970年代~2002年 2.2人程度 ⇒ 2010年 1.96人

③出産期の女性の減少
・団塊ジュニアが出産期をピークアウトすると、出生数は急減する
※国立社会保障・人口問題研究所 将来人口推計
2020年=84万人 2030年=75万人2040年=67万人

(2)少子化の要因として有力な理論・仮説⇒検証
①女性の社会進出と、仕事と子育ての両立の困難
⇒保育と仕事の両立支援は前進している(認可保育所利用児数 1990年172万人⇒2012年218万人、育児・介護休業法の拡充など)が、出生率は日本が少子化を認識した1990年の1.57ショックの水準まで戻っていない。両立支援だけでは少子化の原因の一部しかカバーしない。
※柳澤の調べでは、出生数は2006年1.26人から2015年1.45人まで微増(2016年は合計特殊出生率1.44人、出生数97万6978人)しています。

人口動態統計

 

②非正規雇用者が急増し、低収入の若者が増えている
・20代の最多年収:1997年300万円台⇒2007年200万円台前半
⇒最低賃金の引き上げや子ども手当の創設(2010年※現:児童手当)が行われていて
低収入対策は進んでいるかにみえるが、非正規雇用者数は増えている。
非正規雇用という不安定な雇用と低収入が結婚・出産を困難にしている可能性は高い。
※柳澤調べ:厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」より(3人に1人が非正規雇用者)http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000120286.pdf

(3)松田茂樹著「少子化論」での結論(FPに関連性のある項目のみピックアップ)
・少子化の主要因は「未婚化」である
・未婚化の主要因は「雇用の劣化」である
⇒特に男性の非正規雇用者や低収入が結婚を阻害している
・「典型的家族を支える少子化対策」の充実が必要

 

(松田氏による政策提言)※抜粋
・若年性の雇用改善(非正規雇用者を優先的に賃上げ、正規雇用の職業紹介拡充など)
・子育て・教育の経済的負担軽減(3人以上の子を産み育てる世帯へのバックアップ)
・育休を充実させ、0歳時保育を削減(非正規雇用でも育休をとれるようにする)⇒1,2歳児保育に充当
・ライフデザイン教育の実施
・祖父母との同居・近居支援