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第三回会合 2015.8.20少子化社会対策白書勉強会②「晩婚化と未婚率上昇が少子化に与えた影響」

第三回会合 2015.8.20少子化社会対策白書勉強会②「晩婚化と未婚率上昇が少子化に与えた影響」(出席者:柳澤・圦本・手塚)

今回は特別ゲストとして、FPフローリストにインターンで通っていた女子学生の手塚さんに参加してもらいました。お互い世代ギャップを感じながら新鮮な情報交換ができました。
「女性が勉強し過ぎるとお嫁に行きづらくなるから、良い短大かよい高校をでて、数年勤めたら家庭に入る、という雰囲気が20年くらい前はわりとあったのよ」と話すと、びっくりされていました。
手塚さんからは「玉の輿を目指している友人がいますが可能ですか?」「(男性の方が)年下婚はうまくいくものですか?」など私たちにとっては面白い質問を頂きました。

今回勉強したのは下記の箇所です。

平成26年版 少子化社会対策白書(全体版<HTML形式>)
第1部 少子化対策の現状と課題
第1章 少子化の現状
第1節 近年の出生率の推移
3 婚姻・出産等の状況
未婚化・非婚化の進行
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2014/26webhonpen/html/b1_s1-1-3.html

前回確認した「第1-1-1図 出生数及び合計特殊出生率の年次推移」と今回の「第1-1-5図 婚姻件数及び婚姻率の年次推移」を比較確認することで、婚姻件数が1972年をピークに5年で急減している理由は、第1次ベビーブームの原因となった戦後の婚姻ラッシュの2巡目であり、この部分は異常値ではないことが理解できました。
ただ、変動要因がなければ1980年代中ごろから婚姻件数・婚姻率が上昇カーブに移り、1995-2000年頃に第3次ベビーブームが起きる可能性があったのに起きなかったのは、この時期に婚姻を取り巻く社会状況の急変があったはずであることが、改めて認識されました。
さらに「第1-1-7図 年齢別未婚率の推移(女性)」を確認すると、1980年前後を境に女性の晩婚化と未婚率の上昇が顕著になっていることが分かりました。1980年には25-29歳までの未婚率が24%であったのに対し、30年後の2010年では60.3%となっており、35-39歳の未婚率が23.1%となっています。

つまり、この30年で、女性の平均結婚年齢は約10歳遅くなったと言えます。晩婚化で結婚出産のサイクルが伸びていくことも人口減少に影響すると考えられます。

晩婚化の理由は、前回も話題にでた1986年施行の男女雇用機会均等法の頃から、花嫁修業としての進学就職ではなく、学歴をつけたうえでキャリアを求め、長く働くための就職を志望する女性が増える傾向になったという社会環境の変化が考えられます。大学や大学院を卒業するために就学期間が長くなり、また産休後に復帰するだけのキャリアの確立に年数がかかり、結婚年齢が高くなり、そのため産める子どもの数も減り気味になってきた、というサイクルが推定できます。

FP相談にお見えになる新婚カップルとしては、女性40代で初婚、41~42歳で1子目を出産というケースが増えてきている感覚があります。このような世帯の問題点としては、共通して以下の3点ほどが挙げられます。

・若いカップルに比べて、夫婦合わせた現在の所得が高いことが多く、子育てのスタート時から教育費にお金をややかけすぎてしまう
・ただし、ご夫妻が退職前後に子どもの大学進学が重なり、老後資金を準備する期間がない
・さらに子育てとキャリアの勝負の時期と更年期の体調不良と親の介護問題などが重なり、心身共に大変になる懸念がある

そのため、経済面でかなり前倒しに資金準備をしていった方が望ましいと言えます。

結婚出産が早い方がよいか、遅くてもよいかと言うと、たまたま勉強会メンバーは結婚も出産も平均よりやや早め組が多いこともありますが、早い方がキャリアと人生のバランス的には有利ではないかという話になりました。
20代で結婚して、体力のあるときに子育てを乗り切り、その後奮闘してキャリアを何とか積み上げ、40代で子どもの大学進学まで行くためその後はキャリアのさらなる形成と老後準備に時間を使えるというパターンでやってこれてよかったと感じています。
勤続を必要としない、FP(士業)というやや特殊なキャリアを志望したためですし、運と根性と周りの援助のおかげで成功できた部分があり、現在日本で誰でもが実践できるところまでは行っていませんが、一つの参考事例にはなるのではないかと考えます。
パートナーの転勤によるキャリア断絶も大きな課題です。社会全体がもっと柔軟で、頑張る人はどこからでもリカバーするチャンスが数多くあるようになると、結婚・出産・転勤などのハンディ感が減ってくるのではと考えられます。

余談になりますが、FPフローリストが結婚出産をプラスの経験に変えて女性がプロ士業として活躍する母体になるためには、やはりゆくゆくは全国展開し、お客様もFPも、仕事や家庭の事情で引っ越ししてもサポートが継続して受けられる、FPとしてのキャリアが積み続けられるという状態を目指したい、と事業発展の目標に対して志を新たにすることができました。